

日本大使館からのお知らせ
= 安全管理セミナー実施報告 =
在米日本大使館領事班
日本大使館では10月25日、米国危機管理会社Kroll社に依頼し、在留邦人向けの安全管理セミナーを実施しました。企業や団体、個人等75名の参加者がありました。同社コンサルタント、Joseph F.Fernandez氏による講話の中には、生活の中で事件や事故に巻き込まれないためにはどのような点に注意を払ったら良いか、巻き込まれたらどう対処すれば良いか等、在留邦人の方の参考になる点がありました。講演の骨子を以下に纏めてみました。(なお、本稿は、当館の判断により適宜編集を行ったものであること、また、内容はあくまで講演者であるFernandez氏の意見であり、当館の見解ではないことを、念のために申し添えます)。
1.安全管理の原則
- 周囲の様子、周囲の人々の様子に気を配る。
- 良い意味で疑い深くする。
- 通勤・通学に使うルートを変えるなどし、誘拐されないようにする。
- 日ごろから目立つような行動をしないようにする。
- ロー・プロファイルを保つ。
- 市民(アメリカの居住者)としての責任感を持ち、積極的に政府機関や警察などに協力をする。
2.旅行の際の安全管理
(1)出発、到着関係
- 事前に空港に電話をして、手荷物等の制限及び携行を許されないものなどの確認をしておく。
- 航空チケットなどの名前の記述は完璧でないと搭乗拒否されるので注意。
(特にインターネットで予約した時のE-tickets利用の際のトラブルが多い。旅券などの写真つきIDと照らし合わせてスペルミスが少しでもあると、直ちに搭乗拒否されてしまう。その意味では旅行代理店を使い、ペーパーチケットをあらかじめ入手しておく方がよい。)
- 携帯電話(衛星を利用したものなど)を持っていく。
- コーリングカードを携帯する。
- もし2週間以上外国に滞在する場合、最寄の日本大使館または領事館もしくはなければスイス大使館に所在登録をする。(スイス大使館は永世中立国として、全世界の人を分け隔てなくアシストする伝統があり、スイス大使館に届け出ると、最寄の、旅行者の国籍国の大使館等に通報してくれるので便利)
- 旅券のコピーを作り、一枚は自分で旅行先に持っていき、また、職場の同僚にも預けておく。
- 信頼のおける人だけに、旅行日程の詳細・滞在先の情報等を教えておく。
- 目的地の犯罪・テロ発生リスクに関する情報をあらかじめ得ておく。
米国務省のホームページ:海外渡航安全情報
CIAのホームページ:The World Fact Book 2001
- 航空会社がくれる荷札には、名前と、自分の会社のアドレスを書くこと。自宅の住所は書かない。
- 空港で無駄な時間を過ごさなくてよいようにタイムマネジメントをしっかり。
- 到着時の出迎えをしてもらうときには、ボードに会社名を書かせず自分の名前だけにする。
- 空港から許可の下りているタクシー会社を使う。
- 政情が不安定な地域では、必ず日本大使館または領事館に所在を登録する。
(2)自宅の体制
- 家族、親しい友人や隣人など必要最小限の人にのみ旅行日程を教える。
- 留守電は常にONにしておく。
- 鍵は信頼の置ける人に預けておく。
- セキュリティーアラームは、在宅モードにしておき、一定時間がきたら電気が灯るようにセットしておく。
- 新聞は停止しておくか、隣人に取り込んで貰う。
(3)ホテル関係
- フロントには最小限の個人情報しか渡さないこと。会社名などを教えるのは極力避ける。
- 部屋は2階から10階の間に出来るように頼む。出来れば、火事の時はしご車が届く限界の4階・5階以下にしてもらう。
- 緊急時の避難ルートを確認する。
- カギの開け閉めが磁気カードで行われおり、また、24時間体制でセキュリティーが敷かれているようなホテルを選ぶ。
- 全ての窓やドアをロックする。
- 階段よりもエレベーターに近いところにある部屋を頼む。(ホテルでは火事よりも強盗の発生率が高く、エレベーターから部屋までが遠いと、族に狙われる可能性がおのずと高くなる)
- 外出する際はノート型パソコンや貴重品はホテルの金庫に預けること。
- 予定のない訪問者には部屋のドアを開けないこと。頼んでもいないルームサービスなども、必ずフロントに電話して確認すること。
- 車はダウンタウンでは暗がりや閑散としたところに駐車しない。
- 小さな懐中電灯、ドアロックのためのゴムのドアストッパー(これは部屋の内側から外に向けてドアの下から差し込んでおくと外からドアを開けられず効果的)など持っていくとよい。
- 部屋を出る前に電気・テレビはつけっ放しにしておき、常に部屋に誰かいることをアピール。
- 滞在先のホテルの名前とアドレスは意外に覚えてないことが多い。必ず出かける前に確認する。
(4)路上での注意
- 出かける際、携行するクレジットカードは1枚か2枚に限ること。何枚も持たないこと。現金持ち出しは最小限にとどめ、あとはホテルの金庫に保管しておく。
- 財布の中にいくら入っているか、誰にも(レジの人にも)絶対に見られないように注意する。
- 大声で話したり、いわゆる目立つ行動をしない。
- 路上で行われるデモ行進には近づかない。
- 犯罪率の高い地域は避ける。また、一人で夜歩きをしない。
- 常に自分の周囲に気をつける。常に歩道の中心を歩き、角を曲がるときには大きく曲がるようにする。
- 常に目的をもって歩いているように見せる(単にぶらぶらしているような素振りを見せない)。
- 尾行されていると思ったら、明るい場所を通って人通りのあるところへ出る。
- 罵声を車などから浴びせられたりしたら、その車とは逆方向に歩き出し、人通りのあるところへ向かう。
- 道順を聞かれても親切に教えたりしないように。仮に教える際には、安全な距離を保つ。
- ウェストポーチはナイフ等で背後から切り裂かれたりしないように体の前の真中あたりに装着すること。
- 財布・カメラ等常に気をつける(物乞いや子供のグループなどに取り囲まれたときに注意)。
(5)ATMカードの使用
- ビルの角にあるATMは使わない(ビルの角などは、賊が潜んでいる可能性がある)。
- 茂みや林、森などの近くのATMは使わない。明るい場所を使う。
- 自分の暗証番号を書いたものを財布に入れておかない。
- 暗証番号の入力は人から見えないようにする。
- レシートは必ず保存するようにし、その場で捨てたりしない。
(6)地下鉄
- 地下鉄ではメトロカードは財布から持ち出したりせず、財布とは別に持つ。また、ホームの後ろに下がって列車を待つ。
- 夜遅いときに地下鉄を利用する際は、誰もいない車両には絶対に乗らず、客の乗っている車両に乗るようにする。(たいてい真中近くの車両に多数の乗客が乗っている)
- 観光客のように電車の路線地図を見たりするのは避け、携帯の地図で目立たないように済ませる。
(7)車両移動中の安全
- 発展途上国における車の利用では、必ず明るい場所に駐車すること、また、通勤、通学の為のルートを3つは確認しておく。
- ルート上にある近くの病院・消防署・警察署・ホテルなど、24時間オープンしているところを確認しておく。
- 危険区域や車が混雑しやすく誘拐などの発生現場になりがちな建設現場・工事現場・道路工事中の道路などは極力避ける。
- 車に乗り込む前には、中に誰か隠れていないか、車両の下に不審な包みなどが置かれていないかチェックする。
- キーを持って車両に近づくこと。自分の車両の近くでうろうろしている不審者や見知らぬ人をみつけたら車両には近づかず、そのまま通り過ぎる。
- つけられていると分かっても、対決しようとしたりしない。尾行に気づいたことは相手に知らせる必要あり。
- 携帯電話を使い外部と連絡を取る。車両の中では窓を閉めロックする。
3.日常生活での注意事項
(1)カージャックについて(DCで頻発)
- カージャックとは、銃などを突きつけられて車両盗難にあうこと。
- 信号機のある交差点、ショッピングモール、スーパーマーケットの駐車場、ATMの付近、24時間営業のガソリンスタンド、高速道路の出入り口などで起こりやすい。
(2)アメリカ合衆国内で緊急事態に備えて知っておきたいこと
- 911に電話する。(公共電話でも無料。コインがなくてもかけられる)
- 窃盗(空き巣)の被害にあったら:部屋の中には入らず、他の場所から911に通報。(まだ犯人が近くに潜んでいる可能性がある)
- 強盗に備えて:もし強盗に襲われたときに渡すために、期限切れのクレジットカードや現金がいくらか入っている財布を、自分が普段使用するのと別に用意しておく。
- 大金をもうけようなどとうまい話を持ちかけてくる人は無視する。
(3)クレジットカードについて
- カードは1枚か2枚程度を持ち歩くようにする。
- カード情報(番号・会社名・有効期限など)やカード会社の電話番号をまとめて記録したものを自宅などに保管しておく。
- トラブルにあったら、ポリスリポートを警察からもらう。
- クレジットカード盗難などの被害にあった場合、次のいずれかに直ちに電話する:
| Equifax | 1-800-525-6285 |
| Experian | 1-800-301-7195 |
| Trans Union | 1-800-680-7289 |
(4)自分についての情報
- 常に財布の中などに、次のことを記録したものを入れておく。
名前、年齢、血液型、現在飲んでいる薬の名前、最近処方された薬の名前、アレルギーに関すること、家族など緊急連絡先、宗教的に医療行為が限定されなければならないならばその情報など。テロ被害にあったときには有益。
4.緊急事態への対応(主に旅行時を想定)
(1)どこに行けば支援を受けられるか、誰に連絡をとればいいか、何をすればよいか、など迅速で適格な判断力が必要。
- どの程度危険な状態であるか判断する必要。
- どういう選択肢が長期的短期的に考えられるか。
(2)連絡手段の確認
- 携帯電話(国際電話が出来るとよい)
- 衛星電話
- インターネットを使ったもの(E-mail)
- コーリングカード
- アマチュア無線 などなど・・・
(3)航空機事故に遭遇した場合
- シートベルトをきつく締める。(下腹部の損傷を防ぐことが出来る)
- 非常口をチェックする。
- ペン、入れ歯、ハイヒールのヒールなどとり除く。その場で膀胱を空にすること。
- 墜落直後、煙が充満した時には口をハンカチでカバーする。
- 体を前に傾け、両腕を頭と座席の間で組む。
- ショックで動けないかもしれないが、これが命取りなので、出来るだけ早く機外に出ること。
- 何も持たずに非常口に出ること。
- 前の人を押さないこと。
- もし出口外に火が見えたら、それとは反対側の出口をめざす。
5.テロに関して
(1)見通し
- 大掛かりな報復テロの可能性も排除されない(50カ国以上にわたり、隠れ家を持っている強力なテロ組織であるために事前把握は不可能)
(2)近日の炭そ菌など生物テロに関して
- 9月11日に関わったグループとは無関係のグループが便乗テロをやっている可能性もある。米国疾病管理・予防センターが出している情報は参考になる。
- 不審郵便物についてはワシントン・ポスト紙のホームページに参考になる不審郵便物の見分け方が掲載されているので参照して欲しい。
(3)アドバイス
- とにかくパニックに陥らないこと。一日に交通事故で命を奪われる数に比べれば、炭疽菌で命を奪われた人は現時点で3人ほど、感染者も20−30人ほどである。情報の収集にはいそしんでほしいが、常に常識を持って行動し、流動的な事態にしっかり備えてほしい。
以上
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