「JCAW 研修会 Alan Wolff 弁護士をお迎えして」


2月27日に開催されたJCAW研修会は、米国通商問題の大家として知られるAmbassador Alan Wm. Wolffをお招きし、中国のイノベーション政策とその日本への影響についてご講演いただきました。

Wolff氏は、カーター政権時代に米通商代表部(USTR)の法律顧問、通商交渉担当の次席代表を歴任、USTRを去った後も米自由貿易主義の旗手として、米半導体、鉄鋼、木材業界を代理し、数々の通商問題に関わってこられました。近年は米中通商問題に深い関心をよせ、中国が世界貿易体制の中で信頼できる地位を占めるかどうかを見極めることに力を注いでいるとのことでした。

今回の研修会では、「中国のイノベーション政策と日本企業への影響」というテーマで、中国政府による自国産業の保護・育成・強化政策「自主創新」を中国首脳の発言を紹介しながら、スライドで分かりやすく説明して下さいました。改革開放政策のもと、1980年代から90年代を通じ、外資主導による経済発展を推し進めてきた中国が、近年は中長期の国家計画の中で科学技術分野におけるMade in Chinaの優位性を獲得しようと戦略的な歩みを始めているとの指摘は大変興味深いものがありました。

特に昨年制定され本年8月から施行される中国初の独占禁止法が、どのように運営されるのか、外国企業に対して過剰に厳しく、外国企業がその知的財産を中国企業に移転させることを独占禁止法の名のもとに強要される結果とならないか、というWolff氏の危惧は傾聴に値するものでした。

米国産業界は、中国の自主創新政策と独占禁止法が米国企業に対して差別的な影響を与えないかと注視して見守っている。中国市場は日本企業にとっても重要であり、日米が協力して中国が対外的にも開かれた自由な市場となるよう働きかけていくべきであるという氏の言葉は、1980年代から90年代前半の日米通商摩擦を知る人々にとっては、中国の台頭を実感させるとともに、往時を思うと隔世の感がありました。