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![]() ![]() パブロ・ネルダ、ロマンの世界
医師 ハンター紀子
ラテンバンドをやりだして、スペイン語の歌を歌うようになってから、スペイン語に興味がわいてきた。しかし、言語をマスターするには時間がかかる。そこで、忙しくても拾い読みの出来る、英訳付の詩集を読んで勉強することにした。そこで見つけたのが、パブロ・ネルダの詩集だった。1971年ノーベル賞受賞者、パブロ・ネルダ(PABLO NERUDA)は、チリ生まれの詩人だ。いろいろなジャンルの詩を書いた人だが、共産主義の詩人というイメージが一番強いようだ。外交官として外国住まいが多かった人だが、共産主義者として母国から国外追放同然の扱いを受けていたという。 こんなに自分の政治思考を貫いた人だが、意外な事実は、この人が女性の心をくすぐるような愛の詩も書いていたということだ。 写真で見た限りでは、失礼だが、ただのおじさんなのだ。しかし、この人は、会わなくても一目ぼれしてしまうような詩を書いているのだ。これがノーベル賞をもらった詩人の作品かと疑うほどの、かなりきわどいアダルトなのもある。 典型的な恋多き詩人の彼は、結婚も三回している。三人目の妻のマチルダ・ウルティアとは、五十代半ばで恋に落ちた。彼女に捧げた詩は多数に及び、数冊の本になっている。The Captain's Verses (Los Versos del Capitan)、100 Love Songs (Cien Sonetos de Amor)は、その中でも有名な作品集だ。あれほどの数の詩を妻に捧げたという事実からも、彼がマチルダ夫人にぞっこんほれこんでいたことがわかる。三度目の正直とは、このことかもしれない。 イタリア映画で'IL POSTIA'という映画がある。英語の題名は、'THE POSTMAN'と言う。1995年に外国映画部門でアカデミー賞を受賞した映画だ。この映画は、パブロ・ネルダが国外追放時に仮住まいをしたイタリアの小さな島で、郵便配達とネルダの間に芽生えた友情がテーマになっている。何のとりえもない郵便配達が、パブロ・ネルダの愛の詩を使って憧れの女性の心を捉えるという、なんとも少女趣味な物語だ。地中海の青い海を背景に、穏やかにくりひろげられるドラマは、まるで詩を読んでいるような気分にさせてくれる。 ちなみに、郵便配達役の俳優は、この映画を撮影中に心臓移植をして、結局撮影終了間際に亡くなったとか。撮影中は、体が言うことをきかず、代理の役者を後ろから撮ったり、自転車をこぐなどの体力を使うシーンはスタントマンを使ってカバーしたそうだ。そんな事実を踏まえて観ると、ますますジーンとくる映画である。 パブロ・ネルダの詩は、もちろんスペイン語で書かれている。しかし、英訳にされてもそのエッセンスは生きている。訳しても人の心を貫く詩であることからして、やはりノーベル賞受賞に値する詩人であったといえよう。 恋愛の世界の美しさ、甘さを再現してくれる彼の詩は、まさに、百聞は一見(一読?)にしかず。恋人がいても、いなくても、是非読んで、ロマンの世界を味わっていただきたい。 * 読書のお好きな方には、ぜひ知っておいていただきたい耳よりなプログラムの紹介 * Border's Bookstoreでは、コーポレートディスカウントプログラムがある。別に会社を持っていなくても、個人として申請できる。おおっぴらには宣伝していないプログラムだが、カスタマーサービスのデスクで申請書をもらって、提出すると、20%引きのカードが郵送されてくる。カードが来るまでは、デスクの係員から申請書提出の確認の用紙をもらえば、それでディスカウントがすぐに使える。(このお知らせは個人でしており、Border's Bookstoreとは、まったく利害関係の無い事をご理解いただきたい。) |