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![]() ![]() 『あのヒトは今? ロサンゼルスの空の下で』
ANA米州総支配人兼ロサンゼルス支店長
ワシントン日本商工会会員の皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。ワシントン駐在の折には、大変お世話になりましたことを、改めて厚くお礼申し上げます。石井 知祥 早いもので、ここロサンゼルスへ異動になりまして、半年が過ぎました。 ワシントンとの違いの一つは、やはり天候だと思います。ここトーランスは海岸に近いこともあり、寒流が流れている太平洋からの涼しい風が吹いてきますので、夏でも朝晩は過ごしやすいことと、ほとんど雨は降りません。この半年で、2回ほどパラパラと降った程度ですので、屋外での活動に、天候を気にする事は一切無くなりました。一方では、こうも雨が降らないと水源の問題が気になりますが、南カリフォルニアの水源は州の北部のシエラネバダ山脈からの水とコロラド川からの水に依存しています。今年は特に例年と比べると雨量が少なく、土地が乾燥している為、山火事が懸念されます。 山火事が起きると乾燥している分、広がりが速く、消火活動にも大変な時間を要します。今年5月には山火事でロサンゼルスのランドマークの一つである、展望台や動物園で有名なグリフィスパークの800エーカー(敷地の5分の一)が焼け、周辺300戸の住民が避難をしたという惨事が起こりました。ロサンゼルスを上空から見ますと、全体が赤茶けており、やはり本来砂漠であったところだと実感されますし、緑の豊かさは東海岸には到底かなわないと思います。 次に日本人、日系人が多いことです。日本人は領事館の在留届ベースで、カリフォルニア州で約11万人(北カリフォルニア:35,000人、南カリフォルニア:72,000人)そして日系人は約40万人(南カリフォルニア:23万人)と言われています。私の住んでいるトーランスはトヨタ、ホンダの北米本社の所在地ですので、特に日本人が集中して住んでいる地域です。ワシントン日本商工会と同じような団体はカリフォルニア州にはサンフランシスコ中心の北カリフォルニア日系企業協会とロサンゼルス中心の南カリフォルニア日系企業協会がありますが、当州に進出している日系企業数が約1,800社のなかで、両協会会員は720社程度となっています。 また多くの日系人の団体がありますので、いろいろな会合、行事が多いのも特徴の一つでしょう。先日も日系人団体主催の“菅原陽一・桑江洋子”ショーがありましたが、当地ではなかなか“昔の名前で出ています”方々の人気が高いようで、もうすぐ開催されます“ゴスペラーズ”ショーの集客が少々苦戦しているというのも、こちらの特徴でしょうか。 ロサンゼルスは朝夕の通勤時間帯での渋滞は全米ワーストといわれています。 ちなみにワースト2,3はサンフランシスコとワシントンD.Cのようですが、幸いなことに会社と住居が車で5分と近接していますので、日常は渋滞とは無縁ですが、ロサンゼルスは市域が広範囲に広がっていますので、他の地域へ行くときには渋滞は覚悟しなければなりません。 仕事柄空港へ行くことが多いのですが、空港はダウンタウンと私の住居地の丁度中間に位置しており、わすか20分の距離ですので、非常に便利なのですが、乗降客数が全米3番目(アトランタ、シカゴの順です)であることと、施設が老朽化して、継ぎ足しされていることもあり、お客様に取っては非常にストレスの多い空港の一つであります。 話は変わりますが、ロサンゼルスより車で約2時間のところにベーカーズフィールドという人口約40万人の町がありますが、そこにIFTAというANAの乗員訓練所があります。現在約80名のパイロットの卵が約1年8ヶ月の訓練を受けています。教官は日本から派遣しているものと、こちらで採用したアメリカ人パイロットがいますが、アメリカにおいても、団塊の世代の退職が出てきている一方で、国際線への展開や国内線におけるローコスト航空会社の積極的な路線展開もあり、パイロット不足の状況があり、アメリカ人教官の不足が悩みでもあります。 ちなみにアメリカではパイロットの定年は60歳となっており、日本を含めて主要国は既に65歳までに延長されており(但し、乗務時は、一方の乗員は60歳以下の制限)延長が議論されていますが、当該者が延長を望まない傾向や、若い乗員が機長への昇格が遅くなるとの不安もあいまって、改定までには時間がかかりそうです。 航空の話題に移ったところで、皆さんにもご関心があり、また経験をされた方が多いと思いますが、アメリカ国内線での発着便の大幅遅れの問題があります。こうしたケースでは稀ですが、大統領までが関与して、改善を示唆するまでになっています。運輸長官が最近の会見で、航空機の到着遅れによる年間の経済的損失は約1兆円にのぼると発表して、特に遅れの多いニューヨークのJFK空港での改善を指示するまでになっています。 アメリカ国内線の乗降客数は昨年7億4,100万人となっており(実に日本の7倍です)、2015年には10億人になると予想されています。 国内線の特徴は大手航空会社が、競争の激化と燃油費の高騰により、より小さな機材で便数を増やしてきていることと、ローコスト航空会社(いまでは大手もかなり贅肉を剃り落としてローコスト、レスサービスとなりつつあり、こうした区分けには疑問を感じていますが)の台頭(3年前までは旅客数で20%程度のシェアーと言われていましたが、現在では30%を超えていると思います。ちなみにローコスト航空会社の代表格であるサウスウエスト航空は今年あたりは搭乗旅客数でアメリカン航空を抜いて世界一となると思います)そしてコーポレートジェットと言われる企業や個人が所有している航空機の増加(約18,000機)が混雑を助長させていることです。 一方では、その需要増加のテンポについていけない、老朽化した航空管制システムの問題があります。地上波による誘導から衛星を使って、瞬時に自分の航空機の位置と他の航空機の位置を確認できることにより、安全性を高めるとともに、管制処理能力も3倍にしようとの計画ですが、この完成には約1.7兆円の資金と20年を要する大プロジェクトになり、資金の問題や管制官の人数増員や待遇改善問題、定期航空会社とコーポレートジェット・小型機使用事業間でのコスト分担問題(コーポレートジェットが増えていますが、それに見合ったコストの負担をしていない)等が複雑に絡んでいるのが現状です。 先日日本から経済団体の一行が訪米されましたが、米国内はチャーター便をご利用になり主要空港を避けて、近郊の空港を利用されましたが、セキュリティーチェックも迅速で、機側にバスをつけて、移動も早く、一度この経験をしたら、もうやめられないと仰ってロサンゼルス空港から飛び立たれていかれました。今後いわゆるサブ空港の益々の活用も活発化してくるものと思われます。 最後になりましたが、空港での混雑の要因の一つである、セキュリティーチェックについても、高性能のXレイの開発や、試験的導入が始まりましたが、事前登録制度で目の虹彩と指紋等を提出して許可を取得した旅客は一般のセキュリティーを通らず、簡略化したセキュリティーを通過するとの事です。 航空大国アメリカの悩みは尽きないようですが、やはり、競争も行き過ぎると、安全性やサービスの低下に繋がる恐れがあると思いますので、その良い面は学びつつ、悪い面は他山の石として、“あんしん、あったか、あかるく、元気”をモットーに皆様に信頼される翼であり続けたいと思っておりますので、どうぞ変わらぬご愛顧をの程をお願いいたします。 突き抜けるような青空のロサンゼルスの空の下より、皆様の益々のご活躍をお祈りしております。 |