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![]() ![]() 『ランナーズ・ハイ:Priceless』
大塚アメリカ・ファーマシューティカル
ニューヨークで新年を迎える瞬間、カウントダウンのりんごが降りてくると、タイムズスクエアでは紙吹雪が舞い、数十万人の歓声やらラッパやらが鳴り響く。タイムズスクエアを見下ろすホテルでシャンパンで乾杯する年越しパーティー…も楽しそうであるが、私は過去2回、花火の打ち上げと共にスタートする『ミッドナイト・ラン』に参加して新年を迎えた。カウントダウンと頭上に上がる花火を合図にスタート。花火を振り返り見ながらセントラルパークの中をイーストサイドからぐるりとウエストサイドへ向けてU字型の4マイル(6.2Km)コースを走るマラソン大会である。マラソン大会と言っても中学や高校で走らされた苦しい経験とは違い、楽しく走る”Fun Run”である。疲れて走れなくなったら歩いても良いし、スタート前にはウォームアップを兼ねた『ミュージック&ダンス』や『仮装コンテスト』のイベントもある。文字通り「参加することに意義がある」お祭り的なイベントではあるが、由緒正しいNew York Road Runners Clubが主催する暦とした大会でもある。コースでは、仮装した人たちがそのままの衣装で走ってくるからおかしい。アタッシュケースを持ったサラリーマン風やスポンジボブに抜かされたのはショックだったが。途中の給水所では、水を入れた紙コップの他にプラスチックのシャンパングラスに入ったシャンパンももらえる。「走者にアルコール?」と最初は驚いてしまったが、ノンアルコールだった。新年をテーマにしたジョークはアメリカならでは。通常は気味の悪い真夜中のセントラルパークを大勢の人と走ると、子供の頃、親公認で友達同士と夜中に出かけた初詣を連想させるようなワクワク感が蘇ってくる。沿道の所々で「Happy New Year!」とか「がんばって!」とか声を掛けてくれる人たちもいる。コースの後半、次第に疲れてくる頃に応援されると、「よーし、もう少しだからがんばるぞー!」と元気になれるから有難い。以前にフル・マラソンを走った人が、沿道の応援があると気合が断然違うと言っていたことが理解できる気がした。お祭りの様な4マイルでも、ゴールした時の達成感と充実感はとても爽快で、フル・マラソンを走った訳でも記録を樹立した訳でもないのに、自己満足に満面の笑みを作ることができる瞬間である。これをランナーズハイと言うらしい。大晦日にマラソンなんて、と思う人も少なくないが、この達成感や充実感を以ってスタートする新年は何か良いことがありそうで、ポジティブな気分で新年を迎えることができる。厄除大師へ初詣するより効果があるかもしれない。大橋 尚美 アメリカではこのようなマラソン大会が毎週のように各地で開催されている。(因みに、英語ではマラソンとはフル・マラソンのことを指し、それより短いものはハーフ・マラソンとか10K Run(Race)とか正確な距離を言う。)恐らく多くの人が学生時代に走ったマラソン大会の苦しい印象を持っていると思うが、アメリカでは、オリンピック級の選手が競うニューヨークやボストン・マラソンから子供が楽しく参加できるウォークまで多様にある。また、多くの大会は、乳がんや多発性硬化症、公園の緑化運動等、何らかのテーマについて啓蒙や募金活動を伴っており、慈善活動へ参加することで、良いことをしたという満足感も得られる。何よりも適度なジョギングは健康にも良いし、なんと言ってもスニーカーひとつで始められるお手軽なスポーツ。頑固で負けず嫌いの私の場合は、「途中で止まりたくない」、「完走したい」という意地をポジティブに使うことができ、ストレス発散になり、身体的だけではなく精神的にも健康になれる。「走ることは苦しくてイヤなこと」というトラウマを残さずに、楽しく、有意義に、健康になれるような主催者の工夫や発想はアメリカならでは。 『ミッドナイト・ラン』に参加して以来ランナーズハイに病み付きになり、ワシントン周辺のマラソン大会に参加している。5Kを達成すると、次は5マイル、10K、10マイルと段々と欲が出て、タイムも気になるようになってくる。タイムを縮めるにはスピード・トレーニングが必要で、雑誌やインターネットで情報を探すのもひとつだが、私は手っ取り早く地元のロード・ランナー・クラブに入り、手短なレースを目指すことにした。クラブに入会すると、経験豊富なコーチがトレーニング・メニューを作ってくれたり、地元レースへのエントリーを無料またはディスカウントにしてくれたりする特典が付いている。また、グループ・トレーニングは、自分のペース・グループの人たちと知り合えたり、「来月何処々でレースがあるよ」等情報交換できたりする。(全米ロード・ランナー・クラブの支部は郡や市単位で細分化されていて、イベントが独自に主催されているので、いつ何処でレースが開催されているのか全体的に把握するのは難しい。)何よりも、グループ・トレーニングの利点は一人で走るよりも少し早いスピードでも不思議と苦にならずに走ることが出来ることだ。無理に急激なトレーニングをすると筋肉疲労で炎症を起こす等怪我の元になるが、徐々に負荷を上げたり、トレーニング後のケアのコツ等も教わったり、怪我は防ぐことができる。そのような知識や技術を仲間から教えてもらう度に目から鱗である。 私の目標は、2007年11月に10K、2008年4月に10マイルを完走することである。殊に、4月の『Credit Union Cherry Blossom Ten Mile Run』が楽しみである。桜の咲く頃、ワシントン・モニュメントからTidal Basin、ポトマック川沿いのRock Creak Pkwyの桜並木の中を走るこのコースは、桜見物も同時にできる。当日は天気が良くなるよう、照々坊主にお願いしよう。 10マイルの次の目標はハーフ・マラソン、そしてフル・マラソンである。やはりランナーとしてはフル・マラソンに参加して本格的な醍醐味を味わいたい。そこで、マラソンとお祭り気分を同時に楽しめそうなのはホノルル・マラソンである、と勝手に決めて目標にしている。大塚製薬では、アミノバリュー・ランニング・クラブをスポンサーし、ホノルル・マラソンに向けてのトレーニングを支援している。本番までの間、マラソンを楽しくて安全に完走できるよう、参加者に講義や実習を通して知識や走力、技術等を指導している。メリーランドではこのクラブに参加できないのが残念であるが、いつかホノルルの海岸を走破したいと思っている。そして、その後は、ニューヨーク、ボストン、ロンドン、ロッテルダム、と数多くのマラソンが世界中にあるので、挑戦すべく目標を次々に立てるのには事欠かない。世界各地で走ることを想像すると楽しみで仕方がないが、ふと現実に戻り、現時点のスピードからタイムを計算してみると、クラクラと目眩がしそうな時間を走ることになる。先ずは目の前の目標(スポンジボブを抜き返すこと)にフォーカスして練習、練習。 |